「1+1=2ではなく3」
一人と一人がバラバラに仕事をするよりも協力した方が良い結果になることや思いがけない結果になることなどを指して、1+1≠2とか1+1=3とか言ったりします。
1が人数で2や3が結果を指している時点で足し算としては成立しないのが明らかですし、バラバラにやれば二つの異なる結果が出るところを共通の一つの結果が出るという意味では1+1=1なのですが、納得できる面もあるので考えてみます。
「1+1=2ではなく3」の命題
抽象的だと考えにくいので、まず具体例で考えてみます。
Aさんは半日でイチゴなら100個、リンゴなら30個を収穫できます。Bさんは半日でイチゴなら12個、リンゴなら118個を収穫できます。バラバラに収穫して合計すると、イチゴは112個(100+12)、リンゴは148(30+118)個、全部で260個になります。これをお互いに得意なものを収穫して合計すると、イチゴは200個、リンゴは236個、全部で436個になります。これを分け合うとイチゴ100個、リンゴ118個で、二人とも収穫量が増えて幸せです。
この場合、1人+1人で260個だったのが436個になったので、確かに1+1=2以上の成果が出ています。
ただし、イチゴは1個25円でリンゴは1個100円とすると、二人の収穫能力は以下のように言えます。
Aさんはイチゴなら2500円、リンゴなら3000円分を収穫できます。Bさんはイチゴなら300円、リンゴなら11800円分を収穫できます。
先ほどと同じように考えると、バラバラに収穫して合計すると、イチゴは2800円分、リンゴは14800円分、全部で17600円分になります。これをお互いに得意なものを収穫して合計すると、イチゴは5000円分、リンゴは23600円分、全部で28600円分になり、やはり1+1=2以上の成果です。
ここで、Aさんが収穫数は少なくてもリンゴの方が儲かると気付き、二人ともリンゴだけを収穫したとします。その場合、バラバラでも協力しても結果は同じでリンゴ29600(6000+23600)円分で、1+1=2にしかなりません。
しかも、イチゴもリンゴも需要が250個だとすると、お互いに得意なものを収穫した場合には需要の範囲に収まるので28600円分になりますが、AさんもBさんもリンゴしか収穫しない場合には収穫数が250を越えるため売れるのは25000円分になり、1+1=2以下の成果です。
今までの例から、個別最適では1+1=2という成果が限界で、全体最適では1+1=2以上の成果になると言えますので、今回の命題は
- 相互補完な協力体制は、良好な成果を生む
とします。
「1+1=2ではなく3」の対偶
少し書き換えた対偶も並べると、
- 良好な成果が出ないなら、相互補完な協力体制でない
- 普通以下の成果しか出ないなら、適材適所になっていない
となります。
「1+1=2ではなく3」の考察
需給バランスで需要が小さい場合、供給を抑制して労力を別のことに振り分ける必要があります。需要が大きい場合、供給に全力を注ぐべきです。しかし、供給という括りの中にも複数の事柄があり、各事柄の需給バランスによって労力の振り分けが必要です。
振り分ける基準として、まずは他者との比較ではなく自分の中で事柄に対する優位性を比較し、得意なことから時間や労力を配分すれば基本となる個別最適は完了です。後は日々の都合で変動する優先度に応じて配分を変えるだけです。
これを全体最適にするには、個人の配分を全員分合計して、過不足を再配分することが必要です。やらなくていいことをやったり、やるべきことをやってなかったりすれば、適材適所の状態よりも低い成果しか出ないのは当然でしょう。
「1+1=2ではなく3」の結論
「1+1=2ではなく3」は「真」です。ただし、適材適所と言う条件は「言うは易し行うは難し」であることに要注意。
以上