「何でも受け入れられる人は強い」
自分とは異なる意見を全て否定する人は嫌われてしまい、誰からも協力を得られず、結局自分が目指していることを成し遂げられないというパターンはよくある話ですが、異なる意見を全部受け入れてしまうと自分が目指していることからズレていくというのもよくある話です。今回は、そのさじ加減としてどうすれば理想的か考えてみます。
ところで、ある生物は免疫の寛容性が大きいという性質を持っているそうです。そのため、体内に細菌や毒や化学物質などの異物が入り込んでも、それらをあまり異物扱いせずに受け入れて、自分の一部として取り込んでしまうそうです。
普通なら、発熱、嘔吐などの反応をして異物を排出して、もう一度異物が入り込んでも同様に排出します。しかし、取り込んでしまえば体が拒否反応をしないので、排出する必要がなくなります。排出時は体が弱っていたりするので外敵に負ける可能性が増えて危険ですが、取り込んでしまえば危険性が減りますし、その異物を異物としないことが遺伝しますから、種として生存する可能性が高まります。
人間の場合、除菌や解毒という科学の力で生存していますが、人間同士の生き方・考え方の違いで争いが起き、個の生存が脅かされています。概念レベルの異物である異なる価値観を自分の価値観として取り込むことができれば、争いも減っていくのではないでしょうか。
「何でも受け入れられる人は強い」の命題
強いというのを具体的な表現にして、自分が目指していることを成し遂げられるとします。受け入れられるを具体的にする前に「受け入れる」と「取り入れる」の違いを辞書で調べたところ、「受け入れ」よりも「取り入れ」の方が行動が選択的でしたので命題は、
- 何でも耳を傾けて良いところを取り入れる人は、自分が目指していることを成し遂げられる
とします。
「何でも受け入れられる人は強い」の対偶
2パターンの解釈ができて、
- 自分が目指していることを成し遂げられない人は、良い意見すら取り入れない
- 自分が目指していることを成し遂げられない人は、悪い意見でも取り入れる
となります。
1つ目は、最初に出した例そのままですね。
「何でも受け入れられる人は強い」の考察
意見を取り入れる前に、まず意見を聞く必要があります。その意見を聞く前に否定したり、聞く姿勢がなかったりすれば、周りの協力を得ることも引き出すこともできません。意見を聞いたとしても取り入れなければ、次からはやはり意見・協力を得ることができません。
また、悪い意見を取り入れることで迷走が始まるので、取捨選択は非常に大事です。しかし、否定するだけで終わると次の意見をもらえなくなるので、意見を退けつつ、意見をくれたことには感謝し、次の意見を引き出すことが重要です。
「何でも受け入れられる人は強い」の結論
「何でも受け入れられる人は強い」は「偽」です。全てを受け入れても目的がぶれないのは、目的が全てを受け入れることである場合に限られます。
ところで、冒頭で触れたある生物とはゴキブリのことでした。
以上